クラリス錠

風邪をひいた時、解熱剤や咳止めとよく一緒に処方されるのが抗生剤です。
今回は抗生剤の1つであるクラリス錠について説明します。

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クラリス錠の効果

まずは効能・効果を確認しましょう。

1.一般感染症
〈適応菌種〉
本剤に感性のブドウ球菌属、レンサ球菌属、肺炎球菌、モラクセラ(ブランハメラ)・カタラーリス、インフルエンザ菌、レジオネラ属、カンピロバクター属、ペプトストレプトコッカス属、クラミジア属、マイコプラズマ属
〈適応症〉
●表在性皮膚感染症、深在性皮膚感染症、リンパ管・リンパ節炎、慢性膿皮症
●外傷・熱傷及び手術創等の二次感染
●肛門周囲膿瘍
●咽頭・喉頭炎、扁桃炎、急性気管支炎、肺炎、肺膿瘍、慢性呼吸器病変の二次感染
●尿道炎
●子宮頸管炎
●感染性腸炎
●中耳炎、副鼻腔炎
●歯周組織炎、歯冠周囲炎、顎炎

2.非結核性抗酸菌症
〈適応菌種〉
本剤に感性のマイコバクテリウム属
〈適応症〉
マイコバクテリウム・アビウムコンプレックス(MAC)症を含む非結核性抗酸菌症
通常、成人にはクラリスロマイシンとして1日800mg(力価)を2回に分けて経口投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。

3.ヘリコバクター・ピロリ感染症
〈適応菌種〉
本剤に感性のヘリコバクター・ピロリ
〈適応症〉
胃潰瘍・十二指腸潰瘍、胃MALTリンパ腫、特発性血小板減少性紫斑病、早期胃癌に対する内視鏡的治療後胃におけるヘリコバクター・ピロリ感染症、ヘリコバクター・ピロリ感染胃炎

次に用法・用量です。
1.通常、成人にはクラリスロマイシンとして1日400mg(力価)を2回に分けて経口投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。

小児にはクラリスロマイシンとして1日体重1kgあたり10~15mg(力価)を2~3回に分けて経口投与する。レジオネラ肺炎に対しては、1日体重1kgあたり15mg(力価)を2~3回に分けて経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。

2.通常、成人にはクラリスロマイシンとして1日800mg(力価)を2回に分けて経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。

小児にはクラリスロマイシンとして1日体重1kgあたり15mg(力価)を2回に分けて経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。

3.通常、成人にはクラリスロマイシンとして1回200mg(力価)、アモキシシリン水和物として1回750mg(力価)及びプロトンポンプインヒビターの3剤を同時に1日2回、7日間経口投与する。
なお、クラリスロマイシンは、必要に応じて適宜増量することができる。ただし、1回400mg(力価)1日2回を上限とする。

こうしてみると抗生剤は難しいですね。

上記の記載は聞きなれない言葉が多いので理解しにくいと思います。
簡単にいうとこのような菌に対して効果がありますよ。と説明していると思って下さい。

抗生剤は成分によって効果がある菌種が異なるので医師が適切な薬を選択し処方しています。

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クラリス錠は風邪に必要?

よく風邪に抗生剤は必要ないという話を聞くことがありますが本当ですか?

風邪に対して抗生剤が必要かについては色々な意見があると思います。
僕は基本的に風邪に対しては抗生剤はいらないと考えています。

それは風邪の原因のほとんどがウイルスによるものだからです。
抗生剤は菌に対しては効果がありますがウイルスには効果がありません。

・風邪の原因となる病原体

風邪内訳

ただし割合は少ないですが溶連菌や百日咳菌、マイコプラズマやクラミジアが原因となっている場合は抗生剤の投与が必要になってきます。また患者さんの体力が落ちていて二次性の細菌感染合併のリスクが高い時も抗生剤は有効です。

ではもし細菌による風邪の場合、クラリス錠は効果的ですか?

クラリス錠は対応できる細菌の範囲が広いので効果的です。
また多くの細菌は気道にある気道被覆液という場所に感染するのですが、クラリス錠はこの気道被覆液への移行性が高いので高い効果を期待できるでしょう。

クラリス錠は気道被覆液へ血液中の薬物濃度の3倍以上移行するという報告がある。

クラリス錠の副作用

クラリス錠には気をつける副作用はありますか?

目立った副作用はありませんが腸内細菌にも影響を与えることがあるので軟便、下痢の報告はあります。クラリス錠を服用して気になることがあれば医師に相談しましょう。

ピモジド、エルゴタミン含有製剤、タダラフィルを服用の方、肝臓または腎蔵に障害があり、コルヒチンを服用中の方はクラリス錠を服用できません。

今服用している薬はきちんと医師に伝えましょう。

クラリス錠は授乳中でも服用して大丈夫?

授乳している時にクラリス錠を服用しても大丈夫ですか?

メーカーからの説明では母乳中に移行するという試験結果があるのでクラリス錠を服用している時は授乳を避けることとなっています。

しかし実際には

  • クラリス錠は小さな子供でも服用する薬(乳児には剤形としてドライシロップがある。)
  • 母乳をとおして移行する量はわずか
  • 母乳には赤ちゃんに必要な栄養がいっぱい

という理由からクラリス錠を処方され、授乳も継続する場合があります。

妊娠や授乳中の服薬について科学的な情報をもとに評価を行い、情報を提供している妊娠と薬情報センターでもクラリス錠は安全に使用できると思われる薬として分類されています。

クラリス錠を服用するかどうかは担当医ときちんと相談しておきましょう。


いつも記事を読んでいただきありがとうございます。質問、疑問は下のコメント欄にお願いします。(服用の継続可否については担当医に相談してください)
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