再発予防
狭心症や心筋梗塞の方でもカテーテルやバイパス手術を行えば、もう大丈夫なのですか?
手術を行えば安心!というわけではないよ。予防を怠ると再発する危険性があるんだ。



狭心症や心筋梗塞はカテーテル治療やバイパス手術によって治療ができます。

狭心症の治療について

しかし治療したからといって、その後乱れた生活を送っていると再発する可能性があります。

今回は狭心症、心筋梗塞が再発しないための予防のポイントを7つにまとめてみました。




狭心症、心筋梗塞が再発するのはなぜ

狭心症、心筋梗塞をを起こした人には必ず発症した原因があります。

その多くの原因は

  • 脂質異常症、糖尿病などの生活習慣病
  • 肥満
  • 喫煙
  • 運動不足

などがあります。

カテーテル治療やバイパス手術を受けた後にこれらを改善しない限り、再発する可能性は高くなります。

自分が狭心症や心筋梗塞を起こしたのは何が原因なのか、今一度振り返ってみましょう。

再発を予防する7つのポイント

それではどうすれば狭心症、心筋梗塞の再発を予防できるかポイントをまとめていきます。

ここでお伝えする内容は心臓病の再発や再入院の予防のために患者さんが自身の危険因子を知り、その対策を身に付ける『心臓リハビリ』をもとにしています。


心臓リハビリとは何ですか?

心臓リハビリは、

  • 最近狭心症、急性心筋梗塞を起こした
  • カテーテル治療やバイパス手術を受けた
  • 過去に狭心症や心筋梗塞を起こしたことがあり、心機能の低下が検査で認められた

人を対象に150日間健康保険で受けることができます。

心臓リハビリを受けてみたい方は、まず担当医に相談してみましょう。


実際の心臓リハビリの様子

①セルフモニタリング

セルフモニタリング
セルフモニタリングは心臓の状態や体調を観察するために

  • 血圧
  • 心拍数
  • 体重

を毎日決まった時間に記録することです。


もし血圧や心拍数が大きく変動する日が続いたり、高い血圧(目安:140/90以上)が続くと心臓に負担がかかっている可能性があります。

また1週間に2㎏以上の体重が増えてしまっていると、心不全で体内に水がたまっているかもしれません。


セルフモニタリングによってこのような異常な状態に早く気付くことができるので、毎日チェックすることが大切です。

②運動療法

運動療法

運動療法の基本は、ウォーキングや自転車こぎなどの有酸素運動です。

この運動療法を続けることによって

  • 運動能力の高まりにより楽に動ける
  • 心拍数が減り心臓への負担も減り、狭心症の症状が起こりにくくなる
  • 生活習慣病の改善

につながります。

それなら有酸素運動をたくさんしたほうがいいですね。
いやそうでもないんだ。運動のしすぎは逆に心臓の負担になるので注意が必要だよ

運動療法にはたくさんの効果がありますが、やりすぎは大きな負担を心臓にかけてしまいます。

しかし運動寮が少なければ期待した効果は得られません。

なので安全に適切な運動を行うために、担当医や理学療法士の方にどのような運動をどの程度行えばいいかを指示してもらいましょう。



適切な運動量はどのようにして決められるのですか?

適切な運動量の目安となるのは、目標心拍数です。

この目標心拍数は理学療法士の方が見守る中で自転車こぎを行い、ややきついと感じる心拍数の範囲をチェックして決めていきます。

自分で有酸素運動を行う場合は、この目標心拍数を目安に運動を行いましょう。

ただその日の体調によっては目標心拍数でもきついこともあるので、その場合は運動量を少なめにして下さい。




③食事療法

食事療法

最初にお伝えしたように、狭心症や心筋梗塞を起こした人には生活習慣病などの何らかの原因があります。

これらの原因を解決するには、普段の食生活を改善することが重要です。

心臓リハビリを受けている方は自分の生活状況を管理栄養士の方に相談し、どこを改善すればよいかアドバイスをしてもらいましょう。

生活習慣病の食事療法参考記事へ

④毎日の薬の服薬

服用

カテーテル治療やバイパス手術を受けた後にも、いくつか薬が処方されていると思います。

しかし胸痛などの症状がないと「まあいいか」と思い、薬を飲み忘れてしまっていませんか?

薬の服薬は食事療法とともに毎日続けることが大切です。

どうしても飲み忘れてしまう方は服用方法について担当医や薬剤師に相談してみましょう。

⑤禁煙

禁煙

喫煙者は狭心症や心筋梗塞を発症する危険性が、吸わない人と比べ2~3倍と高くなっています。

これはタバコに含まれるニコチンや一酸化炭素が血液の粘り気を上げたり、神経を興奮させて心臓に悪い影響を及ぼすからといわれています。

どうしても喫煙をやめれない人はタバコを吸う代わりに運動を頑張ると意気込む人がいます。

しかし喫煙を続けていると運動療法を行っていても十分な効果は得られません。

また受動喫煙もタバコを吸っているのと同じなので、注意しましょう。

禁煙の仕方

⑥心理面のケア

カウンセリング

心筋梗塞を起こした人の15~20%が抑うつ状態になってしまうことがわかっています。

抑うつ状態になってしまうと意欲が落ちてしまうので、再発を予防しようという気がなくなっていまいます。

こうなるとその後の死亡率や心臓病の再発率が高くなる危険性があるので、心理面のサポートを受ける必要があります。

抑うつ状態になっていると感じたらまずは担当医や心理士などに相談し、カウンセリングを受けてみましょう。

もし心臓リハビリを受けているのなら看護師、薬剤師、理学療法士、管理栄養士など様々な人と関わると思うので、その中から話しやすい人に相談してみるのもいいですね。

まとめ

狭心症や心筋梗塞の再発を予防するために、まずは起きた原因をきちんと理解することが大切です。

そして原因を理解した上で運動療法や食事療法などを行い、再発の予防を続けていきましょう。




参考文献
・虚血性心疾患の一次予防ガイドライン
http://www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/JCS2012_shimamoto_h.pdf
・心筋梗塞二次予防に関するガイドライン
http://www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/JCS2011_ogawah_h.pdf