統合失調症

統合失調症は100人に1人発症する可能性がある頻度の高い病気です。
今回はこの統合失調症に効果があるシクレスト舌下錠について説明します。

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統合失調症とは

統合失調症という名前は聞いたことがあるのですがどのような症状ですか?
シクレスト舌下錠の説明に入る前に統合失調症について学んでみよう。

統合失調症は一言でいうと考えや気持ちがまとまらない状態です。
10代の後半から40歳に人が発症しやすいといわれています。

統合失調症の発症の原因はまだはっきりとしていませんが脳内で情報を伝える神経伝達物質(ドパミンやセロトニンなど)のバランスが崩れることが関係しているといわれています。
他にもストレスや育った環境、遺伝など様々な要因も相互に影響していると考えられています。

統合失調症の症状としては大きく陽性症状陰性症状に分けられます。

陽性症状

陽性症状があると音や気配に敏感になり、普通の人には聞こえないものを感じてしまいます。
気になってしまうと不安や恐怖を感じ、孤独感や不信感もわいてきます。
この時、脳の真ん中にあるドパミン神経が過剰に活動しているといわれています。

陽性症状の具体例をみてみましょう。

妄想

明らかに間違った考えや受け入れられない状況について強く確信をもってしまう。
例えばテレビやラジオで自分のことが噂になっていると思いこんだり、誰かに監視されているように感じるなど。

幻覚

実際には起こってはいないけど現実に起きているものとして認識してしまう。
幻聴(悪口が聞こえる)、幻視(存在しないものが見える)もここに分類される。

思考障害

思考に混乱が生じて、考え方に一貫性がなくなってしまう症状。
会話に脈絡がないので自分でも何を話しているのかわからなくなる。

陰性症状

陰性症状は普通の人が特に問題なくできていることができにくくなる症状です。
このため生活するのが難しくなったり、他人との交流ができなくなったりします。
この時、脳の前方にあるドパミン神経の活動が鈍くなっているといわれています。

陰性症状の具体例をみてみましょう。

感情の平坦化

喜怒哀楽を表現することが難しくなる。
そのため何も見ても体験しも感情が沸かず、他人共感することができない。

思考の貧困

会話で抽象的な言い回し(比喩など)が使えなくなる。
そのため会話が理解しづらく、言葉が浮かばなくなったりする。

意欲の欠如

自分からやろうという意欲がなくなる。まやり始めた行動が続かない。

自閉

自分の世界に閉じこもってしまう。他人と交流をしようとしなくなる。

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シクレスト舌下錠の効能・効果

それではシクレスト舌下錠の効能・効果について確認しよう。

【効能・効果】
統合失調症

シクレスト舌下錠は統合失調症の陽性症状と陰性症状どちらにも効果があるのですか?

シクレスト舌下錠の臨床試験では妄想、幻覚などの陽性症状、自閉や感情の平坦化などの陰性症状の改善がみられました。他にも不安や抑うつ(気分の落ち込み)の改善も報告されています。

また統合失調症の治療となると比較的長期で服用することになるのですが、52週間にわたっての試験では陽性症状と陰性症状改善の有効性と安全性に問題はありませんでした。

シクレスト舌下錠の用法・用量

次にシクレスト舌下錠の飲み方について説明するよ。

【用法・用量】
通常成人にはアセナピンとして1回5㎎を1日2回舌下投与から投与を開始する。
なお維持用量は1回5㎎を1日2回、最高用量は1回10㎎を1日2回までとする。
年齢、症状に応じ適宜増減すること。

舌下錠なのは変わっていますね。なぜ舌下錠なのですか?

シクレストが舌下錠になった理由はこの薬を普通に服用すると消化管から吸収され、肝臓を通過する時に大部分が代謝されてしまうからです。このことを初回通過効果が大きいといいます。

そこで別の投与経路として採用されたのが舌の下に薬をいれて成分を吸収させる舌下錠です。
もしかしたらこんな所から本当に吸収されるの?と不安に思われるかもしれません。

しかし口腔粘膜から急速に成分を体内に吸収できることは以前からわかっており、この方法なら初回通過効果も避けることができるのでシクレストにとってぴったりな剤形なのです。
他の舌下錠の薬としては狭心症発作に使われるニトロペン舌下錠が有名です。

シクレストは舌下錠により成分の最高血中濃度に到達する時間は1時間と早い。

シクレスト舌下錠の服用の注意点

シクレストは舌下錠ということで服用の仕方に注意することがあります。
それはシクレスト舌下錠を服用した後は10分間は飲食を避けなければならないことです。

シクレスト舌下錠だけ服用している人はまだ大丈夫だと思いますが、他にも複数お薬を飲んでいる方は注意が必要です。タイミングが重なりそうな場合は一番最後にシクレスト舌下錠を服用したほうがいいですね。もちろん食事も10分間はしないように気を付けてください。

臨床試験でシクレスト舌下錠服用2分後に水を飲んだ場合は19%、5分後に水を飲んだ場合は10%影響を受けたという報告がある。

シクレスト舌下錠の副作用

シクレスト舌下錠を服用するうえで注意すべき副作用はありますか?

シクレスト舌下錠の副作用は口の感覚鈍麻、めまい、手足のふるえや歩行困難(錐体外路障害)、足のムズムズ(アカシジア)などが報告されています。
またシクレスト舌下錠は血管を拡張する作用があるため初めての服用、服用再開、増量時には起立性低血圧を起こす可能性があるので注意しましょう。

頻度は下がりますが悪性症候群(40℃近い発熱、筋肉の硬直など)、遅発性ジスキネジア(口周囲部の不随運動)なども報告されています。シクレスト舌下錠を服用して何か気になることがありましたら担当医に相談しましょう。

最後にこれは副作用ではありませんが併用する可能性が高く、注意する薬の1つに抗うつ剤のパキシル(パロキセチン)があります。もしパキシルとシクレスト舌下錠を一緒に服用してしまうとパキシルの血中濃度が高くなるという報告があり注意が必要です。きちんと服用している薬は担当医に伝えましょう。


いつも記事を読んでいただきありがとうございます。質問、疑問は下のコメント欄にお願いします。(服用の継続可否については担当医に相談してください)
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