以前肝機能を改善する薬としてウルソ錠を紹介しました。
今回は同じように肝機能の改善に適応があるグリチロン配合錠について説明します。
(他の商品名にネオファーゲンC配合錠、ニチファーゲン配合錠がありますが内容は同じです。)
グリチロン配合錠の成分
グリチロン配合錠には成分としてグリチルリチン酸一アンモニウム、グリシン、メチオニンが含まれています。
グリチルリチン酸は生薬として有名な甘草の成分です。またグリチルリチン酸の甘さは砂糖の150倍以上と言われているため甘味料としても使用されています。
グリチロン配合錠の薬理試験では抗炎症作用、抗アレルギー作用、免疫調節作用、肝細胞障害抑制作用、肝細胞増殖促進作用、ウイルス増殖抑制、不活化作用が示されています。
グリシン、メチオニンはタンパク質を構成するアミノ酸です。グリチロン配合錠の薬理試験では尿量およびナトリウム排泄量の減少を抑制する作用が示されています。
グリチロン配合錠の効果
【効能・効果】
- 慢性肝疾患における肝機能異常の改善
- 湿疹・皮膚炎
- 小児ストロフルス
- 口内炎
- 円形脱毛症
小児ストロフルスとは何ですか?
小児ストロフルスとは乳幼児期に虫刺されの後にできるかゆみの強い湿疹・炎症のことです。
乳幼児期はまだ免疫反応が未熟なため過剰反応によるものと言われています。
グリチロン配合錠に円形脱毛症の適応があるのは円形脱毛症とアレルギー疾患(アトピー性皮膚炎など)に関連性が高いからです。成分の項目で説明したようにグリチルリチン酸には抗アレルギー作用、抗炎症作用があるため効果が期待されています。
最近では薄毛対策のシャンプーなどにもグリチルリチン酸は含まれていますね。
ちなみにグリチロン配合錠の臨床試験における円形脱毛症の有効率は56.7%(131人/231人)です。しかし作用機序から考えるとアレルギー作用疾患による脱毛症には効果がありそうですが年齢による脱毛症にはあまり期待はできないのではないかと思います。
グリチロン配合錠の用法・用量
【用法・用量】
通常、成人には1回2~3錠、小児には1錠を1日3回食後経口投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。
グリチロン配合錠の副作用
グリチロン配合錠では頻度が高い副作用はありません。
しかし気を付ける副作用が1つあります。
それは偽アルドステロン症という副作用です。
この副作用が生じるとグリチルリチン酸の過剰摂取といわれています。
などの症状が現れます。原因としてはグリチロン配合錠の成分である普通にグリチロン配合錠を服用している場合、偽アルドステロン症は滅多に起きることはありません。しかし成分の項目でお伝えしたようにグリチルリチン酸は生薬の甘草や甘味料としても使用されています。
甘味料としてのグリチルリチン酸は微量なので問題ないと思います。
一方で漢方を複数服用している人はグリチルリチン酸の量が過剰になりやすいので、現在服用している漢方がある人はきちんと担当医に相談しましょう。