抗ヒスタミン薬
前回は抗ヒスタミン薬の作用と副作用の概要を説明したね。今回は抗ヒスタミン薬の第1世代・第2世代について詳しくみてみよう。

抗ヒスタミン薬の副作用と作用の仕組みとは?⇓⇓

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抗ヒスタミン薬の種類

まず抗ヒスタミンの主な薬の種類について確認しよう。
世代分類
商品名
一般名
鎮痛性分類
第1世代 レスタミンコーワ、ベナ ジフェンヒドラミン塩酸塩 鎮痛性
ヒベルナ、ピレチア プロメタジン塩酸塩
タベジール クレマスチンフマル酸塩
ポララミン d-クロルフェニラミンマレイン酸塩
アタラックス ヒドロキシジン塩酸塩
ホモクロミン ホモクロルシクリジン塩酸塩
ペリアクチン シプロヘプタジン塩酸塩水和物
第2世代 ザジテン ケトチフェンフマル酸塩
ゼスラン、ニポラジン メキタジン
アゼプチン アゼラスチン塩酸塩 軽度鎮痛性
セルテクト オキサトミド
レミカット、ダレン エメダスチンフマル酸塩
エバステル エバスチン 非鎮痛性
アレジオン エピナスチン塩酸塩
アレグラ フェキソフェナジン塩酸塩
ジルテック セチリジン塩酸塩
タリオン ベポタスチンベシル酸塩
アレロック オロパタジン塩酸塩
クラリチン ロラタジン
ザイザル レボセチリジン塩酸塩

前の説明で抗ヒスタミン薬は大きく分けて第1世代と第2世代に分類されること。そして第1世代のほうが眠気や抗コリン作用(眼圧上昇、尿閉、便秘、口渇など)が強いことを学びました。

よく理解できているね。そして副作用の比較的少ない第2世代の抗ヒスタミン薬が処方される傾向があることも説明したね。

はい。でもどうして同じ抗ヒスタミン薬なのに第1世代のほうは副作用が強くでてしまうのですか?

それは眠気の副作用は薬の脳への移行のしやすさによって変わるからなんだ。抗ヒスタミン薬の副作用についてもう少し詳しくみてみよう。

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抗ヒスタミンの副作用の強さ

脳への移行のしやすさを理解するにはまず脳を守っている血液脳関門を知る必要があるよ。
血液脳関門ってなんですか?

血液脳関門は簡単にいうと脳の活動に必要な栄養素は取りいれて不必要な物質は通さない門番みたいな役割をもつものだよ。

なるほど。それじゃあ薬物は脳内へ移行することはないんじゃないですか?

そうでもないんだ。血液脳関門は栄養素を選択的に取り入れているわけではなく、脂溶性が高く(油っぽく)、分子量が小さいものは脳内への通過を許してしまうんだ。
とういうことは第1世代の抗ヒスタミン薬は脂溶性が高く、分子量が小さいということですか?
そうだよ。だから後から開発された第2世代の抗ヒスタミン薬は脳内へ移行を少なくするために水溶性を高め、分子量が大きいものが多いんだ。

・抗ヒスタミン薬の脳への移行率の違い
血液脳関門

第1世代の抗ヒスタミン薬が第2世代の抗ヒスタミン薬より副作用がでやすいことはわかりました。それでは第2世代の抗ヒスタミン薬同士では副作用の強さには違いはあるのですか?
眠気ではないけれど集中力・判断力・作業率の低下(インペアード・パフォーマンス)は第2世代抗ヒスタミン薬同士でも違いがあると言われているよ。
眠気とインペアード・パフォーマンスはどのように違うのですか?
症状は似ているんだけど大きく違うのはインペアード・パフォーマンスでは症状に対して自覚がないことだよ。

だからいつもはすぐ終わる仕事や勉強の課題がなかなか終わらなかったり、機械操作を誤ってしまうなどの問題が危険視されているんだ。

自分が気づかない副作用は怖いですね。第2世代抗ヒスタミン薬でインペアード・パフォーマンスが起きにくい薬はどれですか?
インペアード・パフォーマンスを起こしにくい薬としてはアレグラ、クラリチン、アレジオン、エバステル、タリオンが挙げられるよ。

このことは添付文書の『使用上の注意』にある車の運転についての項目で記載内容の違いがでているよ。

車の運転について記載なし
・アレグラ ・クラリチン
車の運転など危険を伴う機会の操作には注意させること
・アレジオン ・エバステル ・タリオン
車の運転など危険を伴う機会の操作には従事させないよう十分注意すること
・レミカット ・ザジテン ・ニポラジン ・アゼプチン など
このインペアード・パフォーマンスは脳内にある受容体をどれだけふさいだかの割合(脳内受容体占拠率)が大きいほど起こりやすいんだ。例えばアレグラの脳内受容体占拠率は10%以下だけどザジテンは70%以上もあるよ。
アレグラとザジテンは同じ第2世代抗ヒスタミン薬なのに脳内受容体占拠率は60%以上違うんですね。
ザジテンはこの脳内受容体占拠率が高いせいかてんかん又はその既往歴のある患者には禁忌になっているので該当する人は医師にきちんと伝えよう。

抗ヒスタミン薬の眠気と効果の強さ

抗ヒスタミン薬は眠気などの副作用が強いほど薬の効果も強いイメージがありますがどうなんでしょうか?
確かに抗ヒスタミン薬の眠気が強いほど薬の効果も強いと言う人も多いよ。

でも前回の記事でも説明したように抗ヒスタミン薬が鼻粘膜のヒスタミン受容体をふさげば鼻炎に効き、脳のヒスタミン受容体をふさげば眠気がでるという仕組みを思い出してほしい。

つまり効能と副作用は別々の作用機序で起こっているから相関しているとは言いにくいんだ。

第1世代の抗ヒスタミン薬のd-クロルフェニラミン(ポララミン)、第2世代抗ヒスタミン薬のケトチフェン(ザジテン)、ベポタスチン(タリオン)において眠気と効果は相関しないという結果がでた。参照:ACROSS trial
抗ヒスタミン薬は血圧の薬みたいに数値化しにくく、同じ薬を飲んでいても副作用や効果の感じ方は様々だよ。

もし今服用している薬の効き目が悪かったり、眠気が強い場合は他の薬に変更してもらうように医師に相談しよう。


いつも記事を読んでいただきありがとうございます。質問、疑問は下のコメント欄にお願いします。(服用の継続可否については担当医に相談してください)
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